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投資・収益性

系統用蓄電池は本当に儲かる?利回りと収益構造を徹底解説

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系統用蓄電池は本当に儲かる?利回りと収益構造を徹底解説

系統用蓄電池への投資を検討されている方なら、インターネット上で「利回り20%超」「回収期間5年」といった魅力的な数字を目にしたことがあるかもしれません。

しかし、太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)のような「国が価格を保証する制度」とは異なり、系統用蓄電池のビジネスモデルは市場連動型です。「本当にそんなに儲かるのか?」「リスクはないのか?」と慎重になるのは当然のことです。

実は、系統用蓄電池は適切な立地選定と運用を行えば、極めて高い収益性を実現できる可能性が高い投資分野です。ただし、それは「置いておけば勝手に儲かる」ものではありません。

本記事では、系統用蓄電池投資の「収益性の実態」について、良い面もリスクも含めて客観的な視点で解説します。

系統用蓄電池の収益構造:儲けを生み出す「3つの柱」

なぜ系統用蓄電池が高い収益性を生むと言われているのでしょうか。その理由は、単一の収益源ではなく、複数の市場から同時に収益を得られる積み上げ型収益(レベニュー・スタッキング)の仕組みになっているからです。

主な収益源は以下の3つです。

系統用蓄電池の収益構造図

1. 卸電力市場でのアービトラージ(価格差取引)

最も基本的かつ大きな収益源が「アービトラージ」です。これは株式投資のような「安く買って高く売る」仕組みを電力で行うものです。

  • 充電: 太陽光発電が余って電気が安くなる昼間や、需要の少ない夜間に電力を購入(充電)します。
  • 放電: 電力需給が逼迫し、価格が高騰する夕方などに電力を売却(放電)します。

具体的には、日本卸電力取引所(JEPX) などの市場を活用して取引を行います。この「売買の価格差(スプレッド)」がそのまま利益になります。

再生可能エネルギーの導入が進むほど、天候による発電量の増減が激しくなり、JEPXにおける市場価格の乱高下(ボラティリティ)が大きくなるため、収益機会は今後、さらに拡大していく予測です。

2. 需給調整市場での調整力提供

電力は「需要」と「供給」を常に一致させなければ停電してしまいます。系統用蓄電池は、周波数の乱れを整えたり、需給バランスを即座に調整したりする「調整力」を提供することで報酬を得ることができます。

特に反応速度の速い蓄電池は、需給調整市場において高い価値を持ちます。アービトラージを行っていない待機時間などを活用してこの市場に参加することで、収益の底上げが可能になります。

※そもそもどのような仕組みでビジネスが成り立つのか、アグリゲーションビジネスの基礎について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
系統用蓄電池のビジネスモデルは?アグリゲーションビジネスとは?

3. 容量市場への参入による安定収益

将来の電力供給力(kW)を確保するための「容量市場」(電力広域的運営推進機関 への参加も可能です。これは実際に電気を売った量(kWh)ではなく、「将来、供給できる能力を持っていること」に対して支払われる固定費のような報酬です。

これにより、市場価格が変動しても、ある程度のベースとなる収益(固定収入)を確保できる点が、投資家にとっての大きな安心材料となります。

系統用蓄電池の収益シミュレーション:利回り20%超は本当か?

では、実際の収益シミュレーションにおける数字の目安を見ていきましょう。「利回り」という言葉には定義のブレがあるため、ここでは一般的なモデルケースを基にした試算をご紹介します。

表面利回りと実質利回りの内訳

業界内で語られる成功ケースの目安として、以下のような数値が挙げられます。

  • 表面利回り:最大約23% 売電収入、調整力報酬、容量市場報酬の合計を投資額で割った単純な利回りです。
  • 実質利回り:約18%前後 表面利回りから、電気代(充電コスト)、メンテナンス費、土地代、保険料、運用委託費(アグリゲーター報酬)などを差し引いた手残りです。

もちろん、これは好条件が重なった場合の数値であり、すべての案件で保証されるものではありません。しかし、一般的な太陽光発電投資が利回り10%前後であったことと比較すると、その収益性の高さが際立ちます。

投資回収期間は「太陽光の約半分」

太陽光発電投資(FIT)の投資回収期間は、一般的に10年~12年と言われています。

一方、系統用蓄電池の場合、上記のような高利回りを維持できれば、約5年~7年での投資回収も現実的なラインとなります。

回収期間が短いということは、それだけ早く利益を生むフェーズに入れることを意味し、資金効率(キャッシュフロー)の観点からも非常に魅力的です。

※税務上のメリットや減価償却の活用方法については、こちらで解説しています。
系統用蓄電池と減価償却

太陽光発電投資との決定的な違い

これまで太陽光投資を行ってきた方が系統用蓄電池に注目する際、押さえておくべき決定的な違いがあります。

「天候」ではなく「市場」に連動する

太陽光発電の収益は「お天気任せ」の側面がありました。

対して系統用蓄電池は「市場価格の変動」が収益の源泉です。雨の日であっても、電力需要が高まり価格差が生まれれば利益が出せます。むしろ、天候不順で再エネ発電が不足し、電力価格が高騰するタイミングこそが稼ぎ時となります。

出力制御の影響を「メリット」に変える

九州地方などで頻発している「出力制御(発電を止める指示)」は、太陽光発電事業者にとっては売電機会の損失(リスク)でしかありません。

しかし、系統用蓄電池にとっては「捨てられるはずの安い電気を仕入れるチャンス」になります。出力制御が増えるほど、逆に蓄電池の稼ぐチャンスは増えていきます。

収益性を左右する重要な要因

系統用蓄電池ならどこでも儲かるわけではありません。収益性を大きく左右する要因があります。

市場価格の変動幅

「安く買って高く売る」が基本である以上、価格差が大きいほど儲かります。

原油価格の高騰や、季節による電力需給の逼迫、再エネ導入比率の増加など、電力市場が不安定になるほど、蓄電池投資の収益性は高まります。逆に、価格が年間を通じて一定であれば、収益は出にくくなります。

設備の運用効率(AIによる制御)

人間が手動でスイッチを操作して「今だ、売れ!」とやるわけにはいきません。

市場価格を予測し、最適なタイミングで充放電を行うAI(人工知能)による制御システムの精度が収益を決定づけます。どのアグリゲーター(運用代行業者)と組むかが、投資成功の鍵を握っています。

初期投資額と系統連系の状況

高圧・特別高圧の受変電設備や、大型のリチウムイオン電池は高額です。また、電力会社の送電網(系統)に接続するための「連系負担金」も場所によって大きく異なります。

イニシャルコストをどれだけ抑えられるか、そして系統の空き容量がある好立地を確保できるかが、最終的な利回りに直結します。

※設備価格の相場や内訳については、別記事で詳しく解説しています。
系統用蓄電池の価格相場は?

「儲かる」の裏にあるリスクと対策

投資である以上、リスクは必ず存在します。しかし、系統用蓄電池のリスクは対策可能なものがほとんどです。

1. 電力価格変動リスク(価格差が縮小する)

リスク: 将来的に電力供給が安定しすぎたり、競合する蓄電池が増えすぎたりして、価格差(スプレッド)が小さくなる可能性があります。

対策: アービトラージだけでなく、「容量市場」や「需給調整市場」への参加を組み合わせる(マルチユース運用)ことで、市場価格に依存しない固定収入的な収益源を確保し、リスクを分散します。

2. 技術の進化で設備の価値が下がるリスク

リスク: 電池技術は日々進化しています。数年後に「より安く、より高性能な電池」が登場し、保有設備の競争力が落ちる懸念があります。

対策: 投資回収期間を5~7年と短く設定し、早期に元本を回収する計画を立てます。また、リチウムイオン電池は中古市場でも価値が残りやすいため、出口戦略(売却など)を事前に想定しておくことも有効です。

3. 初期投資の高額さと専門知識の必要性

リスク: 億単位の投資になることも珍しくなく、専門的な電力知識がないと適切な判断が難しい分野です。

対策: 信頼できるEPC業者(設計から設置まで担う業者)やアグリゲーター(運用代行業者)を選定することが最重要です。「自社ですべてやる」のではなく、運用のプロに委託するスキームを活用すれば、投資家は資金の準備と経営判断に集中できます。

※系統用蓄電池市場の今後の成長性については、以下の記事でも深掘りしています。
成長市場を狙え!系統用蓄電池は次の有望投資先になるか?

まとめ:系統用蓄電池投資はどのような人に向いているか

系統用蓄電池は、これまでの「制度に守られた投資(FIT)」から一歩進んだ、「市場経済の中で価値を生む投資」です。

結論として、系統用蓄電池投資は以下の方に向いています。

  • 高い利回りと短い回収期間を求めている方(太陽光投資の次の柱を探している方)
  • 多少のリスクをとっても、市場の成長性に賭けたいと考える経営者・投資家
  • 脱炭素社会への貢献と収益性を両立させたい法人(ESG投資)

系統用蓄電池は「本当に儲かるのか?」という問いに対し、数字と仕組みの上では「非常に高いポテンシャルがある」と言えるでしょう。しかし、そのポテンシャルを「確実な利益」に変えるためには、立地選定、機器選定、そして運用パートナー選びが不可欠です。

Web上の情報だけで判断せず、まずは専門業者に依頼して自社の条件に合わせた詳細な収益シミュレーションを作成し、ご自身の資金力や投資スタンスに合ったプランがあるかを確認することをおすすめします。

まだ参入者が少ない今だからこそ、先行者利益を得られるチャンスが広がっています。正しい知識と信頼できるパートナーを得て、ぜひ次世代のエネルギー投資への第一歩を踏み出してください。

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