国が推し進める蓄電池事業で、新たな成長を。

『再生可能エネルギー普及の鍵：系統用蓄電池の役割』

再生可能エネルギーの導入拡大により、日本の電力システムでは系統用蓄電池の必要性が高まっています。この背景には、電力の安定供給を維持し、脱炭素社会の実現を目指すという二つの大きな課題があります。 特に、2022年度に約70%だった火力発電の比率を、2030年には41%まで削減するという国の計画が、この動きを加速させています。これにより、発電量が天候に左右されやすい再生可能エネルギーを補完する形で、系統用蓄電池が電力の安定供給に不可欠な役割を担うことになります。

『供給過多を解決する「出力制御」の課題』

日本の電力系統では、太陽光発電のように天候に左右される再生可能エネルギーの発電量が、電力の需要を上回ることがあります。このままでは電力網に過剰な負荷がかかり不安定になるため、発電事業者に発電量を抑えるよう要請する「出力制御」が行われています。 しかし、この出力制御は、せっかく発電した再生可能エネルギーを有効活用できていないという大きな問題を引き起こしています。政府は2050年カーボンニュートラルという目標を掲げ、再生可能エネルギーを主力電源とする方針を示しており、この課題の解決が不可欠です。

『系統用蓄電池がもたらす解決策』

系統用蓄電池を導入すれば、再生可能エネルギーの余剰電力を一時的に貯めておき、電力需要が高まった時に放電することができます。これにより、出力制御の頻度を減らし、再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に引き出すことが可能になります。 日本の電力の安定供給と脱炭素化の達成には、系統用蓄電池の導入が不可欠と言えるでしょう。この技術は、私たちのエネルギー利用の未来を大きく変える可能性を秘めています。 過去1年間で導入量が3倍となり国が系統用蓄電池導入を後押して、2030年までに今の約10倍に導入が増える見込みです。

※出典:第3回GX実現に向けた専門家WG配布資料 内閣官房(2023年11月8日)より抜粋。
※1：2023年5月末時点における系統用蓄電池の「接続検討申込」の総数に対して「契約申込」に移行した案件数の割合が約10％。
今後、蓄電池コストの低減などにより事業化される確度が上がり、太陽光や陸上風力並み（電力広域的運営推進機関 発電設備等系統アクセス業務に係る情報の取りまとめ 2022年度の受付・回答参照）となった場合、20％程度となると仮定し、両ケースで「接続検討申込」 から「契約申込」に移行する案件数を想定。
※2：「契約申込」から「実際に稼働」へ移行する案件数については、第6次エネ基検討時に陸上風力発電の導入見込みで想定した既認定未稼働案件の稼働比率を参照。陸上風力の認定取得においては接続契約の締結が必要であり、このうち「実際に稼働」する案件については業界ヒアリング等を通じた結果約70％（陸上風力の場合）が稼働すると想定されており、本見通しの想定においても70％程度が 「契約申込」から「実際に稼働」すると仮定。