系統用蓄電池の活用が新たなステージへ!経済産業省が示す市場拡大と収益機会の可能性
系統用蓄電池の導入が拡大!電力インフラを支える重要な存在に
2026年10月13日、経済産業省・資源エネルギー庁が開催した「第4回 分散型エネルギー推進戦略ワーキンググループ」で、系統用蓄電池の今後の活用方針について重要な議論が行われました。
今回の会合では、系統用蓄電池の導入拡大を背景に、電力市場での収益機会の多様化や、再生可能エネルギーを有効活用するための取り組みが注目されました。
これまでの系統用蓄電池は、電力の需給バランスを調整する役割が中心でしたが、今後は電気料金の時間帯による価格差を活用した取引や、太陽光発電などで生まれる余剰電力の吸収といった、より幅広い活躍が期待されています
系統用蓄電池とは、電力会社の送配電ネットワーク(電力系統)に接続し、電気を蓄えたり放出したりする大型の蓄電池設備です。
太陽光発電や風力発電は天候によって発電量が変動するため、電気が余る時間帯と不足する時間帯が発生します。
系統用蓄電池は、余った電気を充電し、必要な時間帯に放電することで、電力の安定供給や再生可能エネルギーの有効活用に貢献します。
資源エネルギー庁の資料によると、2026年6月末時点で系統接続済みの系統用蓄電池は約128万kWに達しています。
さらに、電力系統への接続を検討する案件は約2億1,100万kW、契約申込みを受け付けた案件は約4,100万kWに上っており、事業化への関心の高さがうかがえます。
ただし、これらの申込みがすべて実際の建設・運転開始につながるわけではありません。
それでも、系統用蓄電池が日本の電力インフラを支える重要な設備として、存在感を高めていることがわかります。
新たな収益機会に期待!電力の価格差を活用するビジネスモデルへ
今回の会合で注目されたのが、系統用蓄電池の収益モデルの多様化です。
現在、政府の導入補助を受けた系統用蓄電池では、収益の約9割を「需給調整市場」から得ていると報告されています。
需給調整市場とは、電気の供給量と使用量のバランスを保つために、電力の調整能力を取引する市場です。
一方、今後の活用拡大が期待されているのが「卸電力市場」での取引です。
仕組みは比較的シンプルです。
- 電気の価格が安い時間帯に充電する
- 電気の価格が高い時間帯に放電・売電する
- その価格差を収益機会として活用する
このような取引は「アービトラージ(価格差取引)」と呼ばれます。
2025年度の導入支援事業の採択案件では、卸電力市場での平均買電単価が8.3円/kWh、平均売電単価が14.8円/kWhとなり、約6.5円/kWhの価格差が確認されています。
ただし、この価格差がそのまま利益になるわけではなく、充放電時の電力損失や設備費用、運用コストなどを考慮する必要があります。
今後、需給調整市場の募集量や上限価格の見直しが進むなか、複数の電力市場を組み合わせた運用が、系統用蓄電池事業の重要な選択肢になっていくと考えられます。
再生可能エネルギーをもっと有効活用!「上げDR」にも注目
系統用蓄電池の新たな役割として期待されているのが「上げDR(ディマンドリスポンス)」です。
上げDRとは、電気が余っている時間帯に、電力の使用量を意図的に増やす取り組みです。
例えば、晴天時に太陽光発電の電気が大量に発電されても、使い切れない場合には発電を一時的に抑える「出力制御」が行われることがあります。
こうした時間帯に蓄電池を充電すれば、余った再生可能エネルギーを有効活用できます。
そして、電力需要が高まる夕方や夜間などに放電することで、電気を必要とする時間帯に供給することができます。
今回の会合では、資源エネルギー庁が、再生可能エネルギーの出力制御を減らすための蓄電池活用策について、今後検討していく方針を示しました。
この取り組みが進めば、系統用蓄電池は単に電力需給を調整する設備にとどまらず、再生可能エネルギーを無駄なく使うための重要なインフラとして、さらに活躍の場を広げる可能性があります。
2035年に向けて蓄電池市場が進化!運用の多様化が成長のカギに
資源エネルギー庁は、2035年度に調整力を持つ蓄電池の導入容量が577万kWに達するという電力広域的運営推進機関の見通しを紹介しました。
これは、将来的に電力需給の調整に必要な蓄電池の容量が確保される可能性を示しています。
蓄電池の導入が進めば、需給調整市場での競争が強まり、収益構造が変化することも想定されます。
一方で、卸電力市場での価格差取引や、再生可能エネルギーの余剰電力を吸収する運用など、蓄電池の活用方法は多様化していくと考えられます。
今後の系統用蓄電池事業では、特定の市場だけに依存するのではなく、複数の収益機会を組み合わせ、柔軟に運用することが重要になりそうです。
系統用蓄電池の未来に期待!市場の成長と新たな事業機会へ
今回のワーキンググループでは、系統用蓄電池の導入拡大に伴い、従来の収益モデルを見直し、より多様な用途で活用していく方向性が示されました。
特に注目したいポイントは、次の3つです。
- 系統用蓄電池の導入拡大により、電力インフラとしての重要性が高まっていること
- 卸電力市場での価格差取引など、収益機会の多様化が期待されていること
- 再生可能エネルギーの余剰電力を活用することで、蓄電池の新たな役割が広がること
今後は、設備の導入だけでなく、電力市場の動向を踏まえた収益計画や、運用技術の高度化が事業成功のポイントになるでしょう。
系統用蓄電池は、再生可能エネルギーの普及と電力の安定供給を両立するために、ますます重要な存在となっていくことが期待されます。
系統用蓄電池.comでは、今後も国の政策や電力市場の最新動向をわかりやすくお届けしていきます。
参考情報・出典
- 経済産業省・資源エネルギー庁「第4回 分散型エネルギー推進戦略ワーキンググループ」(2026年10月13日)
- 電気新聞「系統用蓄電池、需給調整市場への依存に警鐘/エネ庁『上げDR移行を』」(2026年10月19日)
https://www.denkishimbun.com/sp/418074
※本記事は公開された審議会資料および報道を参考に独自に構成したものです。今後の施策は検討段階のものを含み、収益性や制度変更を保証するものではありません。